研究内容

超冷中性子の電気双極子モーメントの大きさを測定することにより、時間反転対称性の検証を行う

超冷中性子の生成 (スーパーサーマル法)

数100MeVの陽子ビームによるスパレーション反応でmeV領域の冷中性子を発生し、超流動ヘリウムのフォノン散乱により100neV領域のUCNに変換している。 UCN実験で決め手となるUCN密度は、現在世界最高強度である。


大阪大学核物理研究センターの390MeV用事ビームを鉛の標的にぶつけ、鉛原子核を破砕するときに出来る熱中性子を取り出す。 熱中性子のエネルギーは数MeVであるので、常温の重水内での中性子‐重水素衝突によりエネルギーを数10meV程度まで下げる。 さらに、20Kの重水中で1meVまでエネルギーを下げる。 そして、この1meVの中性子を超流動ヘリウム中のフォノン散乱でさらに冷却し、エネルギー100neV程度の超冷中性子を生成する。

中性子電気双極子モーメントの測定

 超冷中性子(UCN)は、微弱な力に敏感である。 電場中での超冷中性子スピンの才差運動の観測から、EDMを測定できる。 本グループは世界最強のUCN源と次世代EDM測定法を用いて、測定感度を1‐2桁改善し、 時間反転対称性を破る力を解明し、宇宙における物質創成の謎を解明しようとしている。

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